【作品紹介】
札幌は、東京のように、池袋だ、新宿だ、新橋というように、あちこちに大きな歓楽街があるわけではありません。ススキノの一択です。僕の学生時代(1979~1984)、札幌の人口は140万人ほどだったと思います(現在は200万人)。それでも、都市圏(関東では、首都圏という)の人口もそれとほとんど変わりませんでした。つまり札幌というコアな大都市とヒグマも生息する原始林が隣接している、ということです。札幌は、パリやロンドン、ニューヨークなど欧米の大都市と同じ、コンパクト・シティです。日本で唯一です。東京と同じものを求めなければ、札幌ほどいいところはありませんでした。
【本文の追加情報】ススキノが、昭和30年代初頭から個人の住宅が増えてきた、と書きましたが、これは終戦後の急激な人口増によるものです。この当時のすすきの市場の上の公営住宅など現在ではレトロ物件として有名です。同時に、大型キャバレーなどいかにもススキノらしい風俗営業も増えていきました。買い物籠をぶら下げた着物姿の主婦(当時の女性は洋装より着物が多かった)がすすきの市場あたりをそぞろ歩くと同時に、一方では大型キャバレーが開店しているのですから、考えてみれば面白い構図です。
